前回の記事はコチラ↓
https://johnny-vacation.com/johnny-vacation-india-1/
さて、今回の私たちの旅の目的は、インドの西部にある砂漠で初日の出を見る事である。そのためには、12月31日には砂漠の最寄りの村に到着していなければならない。実はあまり知られていないことであるが、インドという国は非常に大きく、その国土は日本の約9倍である。インド最東部のコルカタに12月23日に着いた私たちはインド各地の名所を観光しながら横断する予定であったため、急ピッチで西に向かわなければならなかった。当然、飛行機などは使わず、陸路での移動である。つまりは電車とバスを乗り継いで片道2000㎞を移動するというインド大横断である。そしてさらに恐ろしいことに、宿や電車、バスは一切予約していない。つまりは行き当たりばったりでその日その日で泊まる場所や交通手段を決めていくというものである。
さて、そこで私たちはまず、インドで最大級の列車が止まるハウラ・レイルウェイ・ステーション駅から西を目指すことにした。そしてその前に、駅の近くのタルタラという街に向かい、現地のマーケットを見て回ろうという事になった。事前にホテルのWi-Fiを使い、Googleマップで調べた情報によると、マーケットにはローカル線で向かうのが最も安価でスムーズな手段らしい。そして、ローカル線に乗るためのダムダム駅まではバスで移動するのが安いようだ。私たちは地元民たちに道を聞きながら、バス停を見つけ、インドに舞う流砂にまみれたローカルバスに乗り込んだ。
特に料金をぼったくられるわけでもなく、車内で切符を買い、異国の地の風景を眺めながら到着を待った。見た目に反して車内は快適であった。実は、バスに乗る前に、偶然居合わせた地元のレディに駅まで行きたいことを伝えたところ、なんとそのレディもその駅に向かうという事で、同じバスに同乗し、私たちは彼女が降りるバス停で共に降り、駅までホイホイ着いていった。
しかしながら、ここでハプニングが起こった。駅の前に人だかりができている。どうやら何かのトラブルで電車が動いていないらしい。地元レディも”Oh, my god.”のような事を言っている。さてどうしたものかと悩んだが、ここで地元レディから提案が出た。「ガイズ、一緒にウーバーしない?」
それは名案だと、彼女と私の友人と私の3人でウーバータクシーに乗ることになった。と思いきや、これまた偶然、たまたま彼女の友人と出会い、4人でタクシーに乗ることに。旅は道連れ世は情けを地で行くような展開であったが、彼女たちのおかげで無事に目的の駅まで行くことができた。ここまでしてくれたのだからと、私と友人は少しカッコつけも含め、「レディたちの分もタクシー代を出しますよ」と提案したが、結局彼女たちは受け取ってくれず、本当に人の優しさだけで目的地に着いてしまった。
インドでもクリスマスはお祭り騒ぎになるようで、マーケットは人で溢れていた。
私たちはまず、両替屋でドルをインドルピーに換えることにした。無事に悪くないレートで両替が終わると、店主が鉄道に乗るのか?と尋ねてきた。どうやらこの店で私たちの乗る列車のチケットが買えるらしい。インドにはこのように、両替屋兼チケット屋、骨董屋兼紅茶屋といった万事屋のような店がたくさんあった。
インドの列車には大きく分けて3つのタイプの席がある。1等車と呼ばれる完全個室の部屋、いわば最上級クラスの席だ。2等車と呼ばれる半個室の部屋は、安宿によくあるドミトリータイプのベッドを想像してもらえればイメージしやすい。そして3等車は、通常の座席で3人掛けベンチが2つ向かい合って設置されたような席である。寝る時は座りながら寝るか、網棚によじ登って寝るか、というものだ。もちろん値段は後者に向かうにつれ、安くなっていく。私たちは相談の上、まずは2つ目の半個室の部屋で向かう事にした。購入の際、「本当に正規料金か?このやり取りを動画に撮ってよいか?」という友人の半分脅しのような購入の仕方のおかげで(?)無事に正規料金で切符を購入した。
画像をよく見て頂くと分かるが、列車は既に3時間遅れで絶賛運行中だ!
チケットも無事に購入し、マーケットをぶらぶらしていると、丸い揚げパンの皮のようなものを山積みにしている屋台を見つけた。
私の友人が興味を持ち、値段を聞くと、1ルピーと大変安かった。では買おう、と伝えると屋台の男はその丸い揚げパンの皮にスープを注ぎ、ちょうどそれが入る紙皿のようなものに入れて友人に渡す。受け取った友人は興味津々に写真を撮ったりした後で、一気に食べる。「うまい!」と友人が言うと、更に男がスープを注ごうとする。友人はその手には乗らないと、もう大丈夫と言うが、男は引き下がらない。聞くと、この食べ物は5杯20ルピーで設定されているという。それは破格じゃないかと、友人はもう1杯注いでもらう。友人がそれを食べて空にすると、また注がれる。まるでわんこそばのようで、見ているこちらも面白かった。パ二プリという食べ物らしい。
そうこうしていると、突然、明後日の方向から日本語で話しかけられた。私は咄嗟に日本人を探したが、見当たらない。すると明らかに現地人である黄色い服を来た肌の黒い男が日本語で話しかけてくる。「何か探しているものはあるか?」私は甘いものが食べたかったので、クッキーと答えた。すると男は「連れて行ってやる」と申し出てきた。私の友人はたいそう訝しんだが、私は好奇心でついていく事にした。
(つづく)